インタビュー interview

移住のホンネ、沖縄の魅力を語り合う。Iターン経験者の座談会

沖縄への移住によって、生活や仕事の環境はどう変わったのか。そもそも、なぜ沖縄だったのか。そんな移住のホンネと沖縄の魅力を探るため、昨年移住したばかりの20〜30代のIターン経験者3人に集まってもらい、座談会を開催しました。移住や、現地で快適に暮らすためのヒントが見えてきました。

【座談会参加者】
Aさん(システムエンジニア・30代・男性)
Bさん(IT法人営業・20代・女性)
Cさん(ソフトウェアエンジニア・20代・男性)

仕事以外の時間をどう使って、人生を楽しむか


——まずはIターンの経緯を含めて、簡単に自己紹介から始めましょうか。

Aさん 私は業務系のシステム開発、いわゆるSler(システムインテグレーター)として長く働いていました。東京で約10年、大阪で5年ほどですかね。大阪出身なんですが、高校卒業後に上京し、都内のシステム開発会社に3年ほど勤務した後、フリーランスのエンジニアとして独立しました。その後は、関東や関西圏の企業からSES(業務委託)案件を受託していました。
もともと沖縄が好きで、昨年5月に「ITキャリア沖縄」を通じて今の業務系システム会社に就職し、移住しました。東京などの企業を相手に、設計・開発業務だけでなく、プロジェクトリーダーとしてマネジメント業務も手がけています。

Cさん 私は西日本出身で、関西にある製造装置のメーカーでソフトウェアのエンジニアをしていました。実は学生時代、沖縄の大学に通っていたので、沖縄で4年間暮らした経験があるんです。馴染みのある土地だったので、Iターンにも抵抗がなく、生活にもすぐに馴染めましたね。
大学卒業後は関西で暮らしていたわけですが、当初から沖縄に帰りたい思いがあったんです。偶然ですが、3年前に結婚した東京出身の妻も以前、沖縄に住んでいたことがあり、お互いに30歳という節目が近づく中で「沖縄に行こう」と2人で決めました。仕事は前職と似たような事業を行っている会社を探し、メーカーに転職しました。

Bさん 移住のきっかけは、沖縄出身の夫と結婚したことです。私自身は北海道で生まれ育ち、大学進学を機に東京へ出ました。夫と知り合ったのは、東京にいた頃です。私はそのまま東京で就職したんですが、夫が沖縄へUターンすることになり「私も一緒についていこう」と移住を決めました。当初は仕事を辞める覚悟でいたんですが、上司に相談したところ沖縄の事業所に異動させてくれることになったんです。これは幸運でしたね。今は東京時代と変わらず、県内の自治体や企業を相手に、自社の製品を売るIT法人営業を担当しています。

——3人とも、はじめから「沖縄」に絞って移住を決めたわけですね。

Aさん そうですね。スキューバダイビングなどのマリンスポーツが好きなので、沖縄には以前から、毎年観光で来ていました。同時に、沖縄は県主導でIT企業の誘致を積極的に行っているので、移住先として注目していました。仕事以外の時間をどう使って、人生を楽しむか。そう考えると、私にとって海をはじめ、自然溢れる沖縄はとても魅力的でした。

Cさん 海はやっぱり、沖縄の魅力ですよね。私も小さい頃から海や自然が好きだったんですが、沖縄の海はきれいで、とにかく広く感じます。
若い頃は東京への憧れも少しありましたが、今は全くと言っていいほどないですね。東京出身の妻と一緒に、あるいは出張で東京に行くことがあるんですが、1週間ほど滞在するだけで「もう十分かな」と満たされるんですよね。それよりも、どっぷりとした海を見ながら生活する方が、私にとっては心地いいんです。

Bさん 私もその感覚に近いですね。もともと北海道の田舎出身でしたから、進学とともに東京に出たのはその田舎が嫌だったからなんですが、それでも東京には6年ほど住んで十分満喫した感覚があります。東京が嫌いなわけではないんですが、いろんな面で上を見たらキリがないじゃないですか。結婚して、子供が生まれたら仕事は続けられるだろうか。社会人になってからは特に、少しずつそんな不安を抱くようにもなっていました。
私も出張で月2回ほど上京する機会がありますが、そのときに昔の友人と会って楽しむだけで、十分かなと感じています。それと、北海道の田舎育ちに私からすれば、那覇は十分便利で都会ですよ。

Cさん そうですよね。もちろん、東京や大阪などに比べれば当然規模は小さいですが、一通り大きなお店から小さなお店まで、それにチェーン店も揃ってますしね。関東圏で例えるなら、立川や大宮あたりのイメージでしょうか。私自身も、買い物などに不便は感じていません。

Aさん それでいて、那覇空港には韓国や中国、台湾、香港、シンガポールなどを結ぶ国際線もありますしね。最近は、バンコク(タイ)への直行便も就航しました。羽田空港や成田空港、関西国際空港など巨大な空港を除けば、これほど国際線が充実している空港は多くないんじゃないですか。アジア各国には距離的にも近いですし、旅行や出張には便利ですよ。

2LDKで5.7万円。収入は減っても、生活は困らない


——移住後、生活は変わりましたか。例えば、休日はどう過ごしているのでしょう。

Aさん 休日は、念願だったスキューバダイビングに出かけることが多いですね。ただ、毎週のように行くとお金がかかるので、出費を抑えたいときは海沿いをドライブしたり、海水浴をしたりしています。以前から観光では毎年のように来てましたが、細部まで巡るとまだまだユニークな店があったりするので、沖縄事業所の責任者から譲り受けた車で沖縄観光を楽しんでいます。
それと、移住してからゴルフを始めたので、会社の仲間たちとコースを回ったりもしていますね。長期休暇のときには、九州など近場を旅行することもありますね。つい先日も、別府温泉(大分県)に行ってきました。
そうやって外でアクティブに遊ぶだけではなくて、当社は資格の取得を奨励しているので、そのために勉強に集中することもありますよ。

Bさん 夫が土日休みが少ないので、休日は1人で過ごすことが多いですね。私はまだ車を持っていないので、徒歩か自転車などで通える範囲で行動するケースが多いです。休日は近所のジムで汗を流して、その後カフェでゆっくり過ごしたりしています。
移住して9カ月ほど経ちますが、実は同年代の友人があまりいなくて…。海で遊んだりとか、沖縄らしいことはまだできてないんです。会社には同年代の社員がほとんどいなくて、大半は30代中盤以降。すべて男性です。1人でも楽しく過ごしてますが、これからはできれば同世代の友人をつくって、いろんな場所を巡ってみたいですね。

Cさん 小さい子供がいるので、休日は家族3人でゆっくりドライブしています。私は南部の糸満市に住んでいるんですが、近くに有名な観光スポットにもなっている大きな公園があるので、そこで子供を遊ばせたりもしています。韓国や中国からも子連れで観光に来ている人が多くいるので、グローバルな不思議な空間なんですよ(笑)

——収入や生活費の変化はどうでしょうか。

Bさん 私は、異動後の収入に変動はありませんでした。ただ、夫は地場の企業に勤めているので、私との収入差が結構大きいんですよ。今、沖縄の景気はいいと言われているので、沖縄の経営者のみなさんには、ぜひ少しでも給料を上げてほしいですね(笑)
物価は意外と、東京で暮らしていたときとそれほど変わらない印象です。スーパーで買い物するにも、野菜などが決して安いというわけではなく。ですから、道の駅など安く売られている場所で、まとめて購入することもあります。
ただ、家賃は断然安いですね。私の家は那覇の中心街にありますが、築3年・1DK・約35平米で6.5万円です。ただ、物件を探すのには苦労しました。不動産屋には「内見する前に申し込まないと、永遠に決められない」なんて言われて。だから今の家は、外観だけ見て契約したんです。

Cさん 私は築4年の2LDK・約58平米、ネット代込みで5.7万円です。糸満は、那覇に比べるとさらに安いですよ。1DKから2LDKクラスの物件は今、全然空きがないですよね。那覇市内はそもそも物件の供給が少なく、需要に追いついていないギャップがあります。空いたらすぐに申し込みしないと、すぐに埋まってしまいますね。
その点、糸満はおすすめですよ。今、自宅から那覇のオフィスまで車で通勤しているんですが、数年前に糸満と那覇をつなぐ大きな橋が完成してアクセスがよくなり、マンションもどんどん建設されていて人口が増えています。
私自身は収入は以前よりも減りましたが、その分出費も減っているので、不自由なく生活できています。移住して、子供が生まれてからは、いい意味で物欲も湧いてこなくなりました。関西に住んでいた頃は大阪や京都で洋服などを買ってましたが、沖縄は年中暖かいので、冬服はほとんど必要ないですし、自然と服へのこだわりが薄れましたね。仕事のストレスがなくなったので、トータルで見ると移住はプラスに働いています。人生で大切なものはお金ではない。そんなことを、しみじみと感じる日々です。

Aさん 私はフリーランス歴が長かったので、年によって100〜200万ほど年収が増減するような生活を送っていました。今は、移住前の直近の年収からは少し下がりましたが、その分家賃をはじめ生活費が減りました。総合的に見ると、沖縄に来て困ったことや悪くなったと感じることはほとんどありませんね。

——実際に沖縄に住んでみて、想定外だったことや不便に感じることはありますか。

Aさん 湿気がすごいことですかね。自転車など鉄製のものを外に置いていると、すぐ錆びてしまいます。そこは注意する必要がありますね。あとは物流でしょうか。宅急便が到着するのに、海を渡るのでどうしても時間がかかります。基本的には県内で買い物は済ませられるんですが、例えば家電量販店などでは東京や大阪と比べると品揃えが少ないので、どうしても欲しいものは通販で買ったりするわけです。

Cさん 確かに、沖縄ではAmazonのプライム会員に登録しても、その恩恵をあまり受けられないですよね。宅急便は送料も高いですし。「送料はタダ。ただし、沖縄・離島は除く」みたいなケースが少なくなく、高額の買い物をすると送料だけでもかなりの金額になることがあります。
それと、学生時代に暮らしていた当時とのギャップでいえば、観光客が多さです。これには驚きました。どうやら、レンタカー会社の数も当時の2倍ほどに増えているようです。ですから、道路の渋滞に巻き込まれるケースが増えたように感じます。アクセスがよくなったとはいえ、糸満から那覇への朝の通勤時も結構混みますからね。

Bさん 私は、強いて言うなら車ですかね。車があれば、もっと気軽に外出できるのに、と思うことはあります。ただ、それでも近所にカーシェアリングの拠点があるので、少し遠出したいときはそれを利用しています。今のところは、それで十分ですね。

1000人から10人へ。転職で感じた“前向きなギャップ”


——さて、ここからは仕事の話もお聞きします。Iターン前後でどんな変化がありましたか。

Cさん 本社は本土にありますが、那覇の事業所は10人ほどの少人数で回しています。それとは対照的に、前職は1000人規模の大きな会社でした。今思うと、以前は無駄に思える会議がたくさんあった印象ですね。今は人数が少ない分、会議も減って身軽に動けるので、集中して業務に向き合える時間が増えました。仕事の裁量も大きくなったので、前向きなギャップが多いですね。転職してよかったと思いますよ。

Bさん 私も前向きなギャップという点では、沖縄では営業マンが少ないので、県や市町村、地元の大企業など、若くても地元の大きな組織や優良企業を担当できるのは、大変な面もありますが非常にやりがいがありますね。東京に勤めていた頃は、営業マンがたくさんいるので、案件の取り合いになるんです。当時私はまだ入社1年目だったので、当然大きな客先を担当することはできませんでしたから。
ただその反面、困ったことやわからないことがあっても、すぐに相談できる人がいないのは大変ですね。私が所属する課の上司は福岡事業所にいて、中堅クラスの先輩社員も沖縄の事業所にはいないんです。もちろん、電話やテレビ会議などで日々会話はしていますが、急を要するケースはどうしても困ってしまうことがまだあります。そういう意味では、もう少しスキルや知識をつけて、熟練してから移住していれば、もっと伸び伸びと働けたのかなとは思いますね。

Aさん フリーランスから会社員へと環境は変わりましたが、悪いギャップはないですね。フリーランスのときは営業から開発まで1人でこなしていましたが、今は会社やチームとして動いています。それが心強く、一体感も感じられて新鮮ですよ。開発業務そのものも、単なるニアショア開発ではなく、プロジェクト管理や上流工程にも携われる環境があります。
さらに、まだ設立10年ほどのベンチャーでチャレンジングな社風があるので、例えば新しい企画を社長に直接プレゼンできたりと、挑戦しがいのある場所で働けている実感があります。

——技術者として、成長・挑戦できる環境があるかどうかは大事ですよね。

Cさん 転職先を探すうえでは、受託の開発だけではなく自社ブランド・製品をもっているような会社を基準にしました。その点、今の会社は技術力が高いのが魅力です。今の時代、特にIT業界ならパソコンさえあればどこでも仕事はできるでしょう。成長意欲とタスクさえ与えられれば、自分次第でどこでも成長できると思います。
会社を選ぶポイントは、まずは担当者と直接会って話を聞くのはもちろんですが、口コミのサイトもたくさんあるので、それを参考にするのもいいと思いますよ。仮に、入社後に「失敗したな」と思っても、沖縄ではIT企業がどんどん増えていて、求人もたくさんあります。次の選択肢があるので、気落ちせずチャレンジしてもらいたいですね。

Aさん 「沖縄だから成長できない」「先端の技術を学べない」ということはないですね。例えば、私はここに来てから、ある東京の取引先と仕事を進めるうえで必要な新しい技術を覚えました。一概に働く場所ではなく、関わるプロジェクトや案件次第で常に刺激は感じられると思いますよ。あえて言うなら、セミナーや講習はどうしても東京で開催されることが多いですから、それに参加するには多少の不便さは感じますが、それでも今はインターネットで情報収集できますし、それほど困らないですね。

——それでは最後に、今後の目標を教えてください。

Aさん 当社には沖縄という地理的な条件を活かして、アジアへの展開を積極的に図っていこうというビジョンがあります。また、国内でも九州エリアに新しい事業所を立ち上げる構想があります。私自身も単に沖縄で開発業務をこなすだけではなく、アジアや周辺のフィールドを飛び回って活躍できる人材になりたいですね。そのために、最近また英語の勉強も再開したところです。

Bさん うちの会社にとって沖縄は手薄な領域だったので、私自身が地に足をつけて地元の取引先と仲良くさせてもらいながら、これからも営業を続けていきたいと思っています。骨を埋める覚悟でここに来てますから、事業所がある限りは、この仕事を一生懸命続けていくつもりです。
プライベートでは、子供がほしいですね。実は、これも移住の決め手の1つでした。沖縄には夫の両親がいます。仮にあのまま東京で暮らしていたら、夫の両親は沖縄、私の両親は北海道ですから、子供を産んでも共働きで育てるのは大変だったはずです。夫の両親がそばにいてくれるのは、とても心強いです。子供ができたら、車を手に入れて家族でドライブしたり、沖縄の生活をさらに満喫したいと思います。

Cさん 沖縄での生活には全く不満がないので、この快適な暮らしをこれからも続けていきたいと思っています。仕事の面では、沖縄の事業所はこれから人をどんどん増やして、成長していく過程にあります。会社の成長に合わせて、私自身も技術を磨いていきたいですね。

——3人の沖縄での今後のご活躍を期待しています。貴重なお話をありがとうございました。


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